鹿島 芦刈 推 壱 ◯ 1 上2 特
何かの暗号の様に並ぶ、漢字や数字たち。
読み方さえも一見わからない、不思議な組み合わせ。
いったい何を表わしているのだろうか...?
これは、一般にはあまり知られていない、
“海苔の等級”
についてのお話。
みなさん、こんにちは。今回のテーマはぬま田海苔の特徴でもある、“海苔のシングルオリジン”。
等級の解説を入れながらもう少し深掘りしていきます。
少しマニアックな内容となりますが、ご興味ある方はどうぞゆるりとお付き合いください。
【海苔のフルネーム】
特選海苔、佐賀海苔、など市場には様々な海苔の商品名があります。
これらは実は芸名の様なもの。
海苔には本名、一般に知られていない本当のフルネームがあるんです。
苗字が漁場名、名前が等級
わかりやすく説明するとこのような感じです。
ぬま田海苔ではお客様にどういう海苔かわかりやすく説明する、またはどういう海苔か安心して買っていただける様に、全てを開示しそれを商品名にしています。
実際に店舗で人気のラインナップ、“鹿島第二壱◯2” (かしまだいにいちまるに)、“早津江推上2” (はやつえすいじょうに)を使って解説すると、
“鹿島第二”→漁場名、“壱◯2” → 等級
“早津江”→漁場名、“推上2” → 等級
となります。
さて、ここからが本番。
漁場名と等級、この2つがわかると一体どの様なメリットがあるのか?
ここから更に深掘りしていきます。
【漁場名から伝わるストーリー】
漁場名とは、シンプルに産地そのものを表しています。
実際にぬま田海苔の海苔たちを県別に分けてみましょう。
佐賀県・・・鹿島、芦刈、早津江
福岡県・・・大和、両開
熊本県・・・網田
漁場名がわかると、まず何県産の海苔かがわかり安心できますね。
そして次に、各漁場で産まれるストーリーをみなさまに知っていただくことができます。
例えば“鹿島漁場”。
佐賀県、塩田川河口の漁場。漁師さん曰く川の道筋を示す“川筋”に位置するため、海苔はより旨味を増して育ちます。また鹿島市には小さな川も何十本とあり、多良岳を源泉に良質な山のミネラルが有明海に注ぎ込みます。「海を美味しくするためには山から」と30年も前から植林を行っていることで、山から川へ、川から海へと、“フルボ酸鉄” が流れ栄養となります。更に反時計まわりに流れてくる有明海のミネラルと合わさり、鹿島の初摘み海苔は独特な旨味の強さと歯切れが特徴となるのです。
これが漁場がわかる事でお伝えできる、海苔のストーリー。
店舗では実際に漁場の地図を使いながら、みなさまに説明にしております。
【等級を3つに分ける】
続いて等級に関して。
“初摘み表す等級”
“種類を表す等級”
“数字の等級”
細かくは3つに分類することができるのです。
例えば鹿島第二壱◯2だと...
“壱” → “初摘み”を表す等級
“◯” → ”海苔に小さな穴が空いているという“種類を表す等級
“2” → その数字のまま “上から2番目の数字の等級”
となります。
まとめると、
初摘み海苔で、小さな穴が空いている口溶けの良い、上から2番目の海苔
という答えが出てきます。
先ほどの漁場のストーリーと合わせると、どういう海苔か?よりイメージしやすいのではないでしょうか。そして、早く食べてみたい!と思うはず。
各等級の簡単な一覧はこちら。これでもまだほんの一部です。
◾️“初摘みを表す等級”
佐賀 → 初、壱、推 ( "推" は初摘みかつ板がしっかりとした見た目も綺麗な海苔)
福岡 → 旬、①
県によって、その表記は変わります。
◾️“種類を表す等級”
◯ → 小穴が空いた海苔、口溶け良く、旨味が後からジュワッと広がります。
重 → その名の通り、重みのあるぎっしりと詰まった海苔で巻物に最適。
混 → 青海苔と黒海苔が混じった“青混ぜ” で、青海苔の割合が高いもの。“混”より青海苔の割合が低いと“飛” 等級となります。
◾️“数字の等級”
数字の場合は“1”が一番ですが、“2”でも立派な等級。
“上”がつくと同じ等級の中でもより良い海苔。
また“優” や “特” など、1以上のレアな等級も。
【等級を決めるのは誰?】
ここまでお話してきたこの海苔の等級、
ではいったい誰が決めるのでしょうか?
実は各漁業組合ごとに、プロの検査員がいるのです。
元は海苔を扱う商社の方もいれば、元生産者も。
“色”、“艶”、“味”を元に“等級検査” を行い、
その後等級を付けられた海苔たちが、入札会場に並びます。
ちなみに入札とは、海苔屋さんたちが、どの海苔をいくらで買うか決める場です。
検査員は入札ごとに情報交換をしたり、漁期の前に事前講習したりもしているそうです。
毎年寒い海に出て、一生懸命に海苔を育てる生産者、
もちろんそんな生産者を応援したい、
でもお客様のためにも検査員はちゃんと評価をしなければいけない。
検査員にしかわからない、大変さもいっぱいあるはず。
そんな想いを背負って、海苔の等級は正しく決められていきます。
【自分の好きな海苔を探して】
海苔の等級について、ここまでいかがだったでしょうか?
マニアックな言葉も並び、読みづらかったかもしれませんが...
みなさまの海苔への興味が、少しでも強まれば嬉しいです。
どんな等級であろうが、最終的には食べてみて、自分が好きな海苔を買うのが一番!
わたちしたちぬま田海苔も、大切にしているのは“美味しさの違い”。
その手段としてこの等級を活用し、“海苔のシングルオリジン”提案をしています。
ただ、そもそも等級がわからなくても、海苔屋とお客様には強い信頼関係があるのです。
「いい海苔ちょうだい」」「はい、どうぞ」
余計な言葉はいらない、素敵な関係性がずっと続いています。
だから全ての海苔に開示が必要な訳ではありません。
一押しの海苔を、ぜひお近くの海苔屋さんで試してみてください。
「この海苔はどういう等級かな?」なんて想像しながら食べるのも、きっと楽しいはずです。
本日も最後までありがとうございました。